毎日傘を手放せない空模様ですね。
昨日は1953製作、溝口健二監督の『雨月物語』を観ました。
53年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた作品。
海外での評価が高いとは聞いていましたが、
観て納得。映像がとてもきれいです。
特に霧の深い琵琶湖を舟でわたるシーンなんてすごく素敵です。
水面近いところから舟を見上げるアングルが、作品の不穏な感じと相まって。
ストーリーはわかりやすく、白黒映画が苦手な私でも退屈しませんでした。
男のみる幸せのなかに女の幸せはなく、
男の目が覚めるまで、女が元のままでいることはできない…という
教訓物語でしょうか(笑)
「女らしい幸せ」が「いい伴侶と仲睦まじく過ごす」ことだというのは
まあ置いておいて、
女が「受忍」、耐えるもの・受容するものである、ということに
改めて感じいるところがありました。
阿浜の「いくど死のうと思ったことか。
もう一度会うまでは死にきれなかった」という台詞には
「えー、阿浜、あんなどうしようもない籐兵衛のこと、
本気で好きだったの!?」という驚き方をしてしまう現代っ子の私。
とはいえ、作品のテーマは普遍的なもので、
京マチ子演じる若狭のエロさ(?)も普遍的なものだと思います。
温泉で「私に命を尽くして」と言うところとか、
男の人、好きでしょう。女でもドキドキしました。
そばで、見下ろしているのは、誰(何)だろう?
原作である江戸時代の上田秋成の読本「雨月物語」では
怪異のおこる前触れに、雨や月の情景が積極的に描かれているそうです。
今日も明日も雨ですね。
和室のシャビーな旅館にでも泊まって怪談話がしたいような、
したくないような。
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